あこがれの個人サイト
“インターネットに触れた最初の記憶はどこかの誰かが作った同人サイトだった。そこの掲示板に挨拶を書き込んだのがインターネットにおける私の産声だ。”
この記事は2024/2/12にしずかなインターネットにて公開した文章の再投稿になります。
Blueskyの検索ワードに「個人サイト」を入れてはしばし眺めることを繰り返している。
Blueskyはユーザー名に独自ドメインを当てることができる。
ドメインを持っている人はちょっと得意げに設定したユーザー名を披露したりしている。なんだか楽しそうだ。
あわせて自分のサイトを紹介していたり、昔ドメインを買ったときの思い出を書いていたり、そんな話題を目にすることが多い。
だからだんだん個人サイトへのあこがれが復活してきた。私も持ってみたい、自分の城を。
インターネットに触れた最初の記憶はどこかの誰かが作った同人サイトだった。
そこの掲示板に挨拶を書き込んだのがインターネットにおける私の産声だ。それからいろいろなサイトを見て回った。
ホームページはどれも個性的で管理人の好みが大いに反映されていた。
かっこいいサイトのマウスカーソルは十字だったし、文字が小さい小説サイトはアイコンもこまごまとしていて病院のようなカラーリングだった。 廃墟サイトのBGMはかまいたちの夜の耳コピMIDIが流れたし、スマブラギャグ小説サイトでは必ずマリオRPGの耳コピMIDIが使われていた。
みなホームページの中で自分や自分の好きな世界を表現していた。
自然と自分もホームページを作りたいと思うようになり、いつか自分もこれを使ってみたいとおしゃれな素材サイトがブックマークに溜まっていった。
自分もホームページを作ったことがある。ジャストシステム製のホームページミックスというホームページ作成ソフトを買ってもらい、拙い二次創作小説とイラストを掲載した。 今おもえばそれは間違いなく自分の城だ。自分だって城主になっていた。
しかしあこがれとは遠いものだった。ホームページミックスは初心者向けのソフトだ。大人は(当時の自分からみればみんな大人におもえた)ホームページビルダーというソフトを使っているか、HtmlとCSSを駆使していた。わたしのホームページはお子様向けのソフトで作られたお子様ホームページだった。サーバーはソフトウェア側が用意する無料サーバーだし、URLも憧れていたHPのようなすっきりしたものではなく、ぞろぞろと長くて覚えづらいものだった。HTMLの知識が無くても簡単に運営できたが、お洒落なカウンターは置けないし、素材サイトでダウンロードしたハイコントラストでじゃぎじゃぎになった写真(電柱や青空が定番だった)をページの右下に固定する背景設定はできなかった。当時の自分にとっては「個人サイトごっこ」で、いつか個人サイトを持ちたいとあこがれていた。
他人の個人サイトを見ているといつもこの頃のことを思い出す。いまならサーバーを借りることもできるし、知識がなくてもワードプレスの導入くらいは調べながらできそうだ。今の自分なら作れるかもしれない。個人サイトを。
…とはいえ「個人サイトごっこ」を興じていたころから失ったものがある。とても悲しいことなのだが、コンテンツをいま自分はなにも作っていない。城を作る前に国を興さないといけない。レンタルサーバーや独自ドメインよりも紙とペンを持つべきだし、いま叩いているキーボードでなにか書くしかない。すっかり忘れてしまったが昔の自分はどうしていたんだろう。コンテンツが先か、ホームぺージが先か。自分の性格を考えると、城を建ててからなんとか中身をしつらえたのかもしれない。